散歩に出ると、電柱の前で片足をすっと上げる犬がいます。その隣を、しゃがんだまま済ませる犬が歩いていきます。同じオスでも姿勢が違う。うちの子は上げないけれど、それでいいのだろうか。そう思ったことがあっても、どちらが普通なのかは、どこにもはっきり書かれていません。この記事では、足を上げるかどうかが何で決まるのか、いつごろから始まるのか、上げない犬をどう考えればいいのかをまとめました。
足を上げるかどうかは、しつけではなくホルモンで決まる
まず、足上げは教えて覚える行動ではありません。性ホルモン(テストステロン)の働きで、ある時期にスイッチが入るように出てくるものです。
これは古くからの動物実験で確かめられています。生まれて間もない子犬にテストステロンを与えると、本来より早い時期に足上げが出はじめます。そして与えるのをやめると、また子犬のときの姿勢に戻ります。姿勢そのものが、ホルモンの量に連動して切り替わっているわけです。
だから、教えていないのに急に始まったのも、いつまでも始まらないのも、しつけの結果ではありません。「うちのしつけが足りなかったのかな」と考える必要はない、というのが出発点になります。
足を上げ始めるのは生後6か月から1歳ごろ
始まる時期は、平均すると生後半年ごろです。ただし体格でかなりずれます。
小型犬は早めで、6か月を過ぎたあたりから。中型・大型犬は8〜12か月ごろ、超大型犬では1歳を過ぎてからということもあります。体が大きい犬ほど、性成熟が遅いぶん足上げも遅れます。
それまでの子犬は、しゃがむか、体を前に倒した姿勢で済ませています。同じ月齢の犬がもう上げているのにうちはまだ、というのは、身長の伸び方が違うのと同じことです。時期は目安で、そこから外れても問題ではありません。
上げないオスも正常で、去勢した犬に多い
ここがいちばん知りたいところだと思います。成犬になっても生涯しゃがんだままのオスは珍しくなく、それで正常です。獣医師の監修記事でも、足を上げるかどうかは個体差・性格・経験によるもので心配はいらない、とはっきり書かれています。
そのうえで、上げない犬には傾向があります。去勢をしている犬、若いうちに去勢をした犬、ほかの犬と関わる機会が少ない犬、もともと臆病な性格の犬は、しゃがむ姿勢のままでいることが多い。足上げはホルモンに支えられた行動なので、その源が少なければ出にくいというだけの話です。
去勢の時期でも変わります。性成熟の前に去勢をすると足上げは出にくくなりますが、すでに足を上げるのが習慣になってから去勢をした場合は、そのまま続くことが多いとされています。ホルモンが減っても、行動としてもう身についているからです。「去勢をしたのにマーキングが止まらない」は、失敗ではなく順番の問題ということになります。
ひとつだけ、元々の姿勢とは別に見ておきたいことがあります。ずっと足を上げていた犬が、急に上げなくなったとき。年のせいに見えても、後ろ足の関節や腰の痛み、泌尿器のトラブルで姿勢を保てなくなっていることがあります。変わらない姿勢は個性ですが、変わった姿勢には理由があります。
「上げる・しゃがむ」の間に、前傾という姿勢がある
もうひとつ、見落とされがちなことがあります。足を上げない犬が全員しゃがんでいるかというと、そうではありません。
体を前に倒して、後ろ足を後方に伸ばすような姿勢があります。上げてもいないし、しゃがみきってもいない中間の形で、若いオスによく見られます。足上げが出はじめる手前の時期に多い姿勢です。
「上げる」か「しゃがむ」かの二択で見ていると、上げていない犬はぜんぶ子犬と同じ姿勢に見えてしまいます。実際には途中の型があって、その子は今そこにいる、ということもあります。
まとめ
- 足上げはしつけではなくホルモンの切り替わり。教えて覚える行動ではない
- 始まるのは生後6か月〜1歳ごろ。小型は早め、大型・超大型は遅め
- 生涯しゃがんだままのオスも正常。去勢済み・若齢で去勢・臆病な犬に多い傾向
- 去勢は時期しだい。習慣になってからでは足上げは続きやすい
- 急に姿勢が変わったときだけは別。痛みや泌尿器の不調で保てなくなっていることがある
明日の散歩で、電柱の前の姿勢を少しだけ見てみてください。上げていても、しゃがんでいても、前に倒れていても、その子の体が今そう決めているだけです。どちらが正しいということはありません。
TOMORU|犬猫と暮らす毎日のために、ケアを考えています。
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