夜、布団に入ってしばらくすると、猫がそっと入ってくる。足元で丸くなる子もいれば、顔のすぐ横まで来る子もいます。「寒いのかな」「甘えてくれているのかな」と、理由が気になったことはありませんか。この記事では、猫が数ある場所の中から布団を選ぶ理由と、夜中に起こされる時にできること、そして一緒に寝ると自分の眠りはどうなるのかをまとめました。
猫にとって、人の布団は「ちょうどいい温度」
まず、温度の話から。猫が体温の調節にエネルギーを使わずにいられる室温は、およそ30〜38℃とされています(全米研究評議会=NRCの資料による数値)。人が快適とする18〜25℃より、ずいぶん高いところにあります。
つまり、飼い主さんにちょうどいい部屋は、猫には少し寒い。ヒーターの前、日なた、乾いたばかりの洗濯物の上——猫が温かい場所を渡り歩くのは、わがままではなく体のつくりの話です。時には乾燥機の中や車の下にまで入り込んでしまうほど、猫にとって熱源を見つけることは切実なのです。
その点で、人の布団はかなり上等な場所です。布団そのものが暖かいうえに、人の体温という熱源まで付いている。寒くなると来る回数が増えて、夏はそっけない。思い当たるなら、それも温度でおおむね説明がつきます。
温かいだけでは足りない 猫が眠る場所に求めるもの
ただ、暖かい場所なら家の中に他にもあります。猫が眠る場所に求めるのは、暖かさのほかに「危険がないこと」「自分や家族のにおいがすること」「まわりが見渡せること」だと言われています(英国の猫の団体 International Cat Care の解説より)。
眠っている間、猫は無防備です。だから寝る場所は、気を抜いても大丈夫だと思える場所でなければなりません。逆に言えば、猫が毎晩そこで眠っているなら、その場所は猫の審査に通っているということです。
もうひとつ、寝床の条件では説明しきれない部分があります。2019年に Current Biology に載った実験では、猫の約65%が飼い主に対して「安定した愛着」を示しました。これは人の乳児で報告されている割合とほぼ同じです。猫は一人で平気な動物だと思われがちですが、少なくともこの実験の猫たちは、飼い主を「いると安心できる相手」として扱っていました。
暖かくて、危険がなくて、においが安心できて、そばに信頼している相手がいる。人の布団は、猫が眠る場所に求めるものを、たまたま全部そろえてしまった場所なのです。
それでも夜中に起こされる時は
とはいえ、明け方に顔を踏まれて目が覚める人も多いはずです。猫はもともと明け方と夕方に活発になる動物なので、人が眠りたい時間とずれるのは自然なこと。しつけがうまくいっていないわけではありません。
ずれを小さくするこつは、寝る前の順番です。少し遊んで体を動かし、そのあとにごはん。狩りをして、食べて、毛づくろいをして眠る——という猫の流れに乗せてあげると、そのまま寝入りやすくなります。
反対に避けたいのが、夜中に鳴かれてごはんをあげることです。「鳴けば起きてくれる」と覚えて、次の日はもっと早い時間に鳴くようになります。
どうしても眠れない日は、寝室の外でも大丈夫です。暖かくて囲まれた寝床を別に用意しておけば、猫は困りません。はじめに書いたとおり、人が思うより暖かめが、猫には心地よい温度です。
猫と一緒に寝ると、自分の眠りはどうなる?
気になるのはここだと思います。2024年に Scientific Reports に載った、米国の成人1,591人を対象にした調査があります(そのうち47.6%がペットと一緒に寝ていました)。この調査では、猫と一緒に寝ている人は、そうでない人より「眠れている」と感じているという結果が出ました。
ただし、これは本人の申告をもとにした、ある一時点の調査です。猫が眠りを良くしてくれると証明したものではありませんし、実際に起こされる日はあります。
それでも、「一緒に寝ると自分の眠りを損なうのでは」と後ろめたく思う必要は、少なくともこの調査からは出てきません。猫が来たなら、そのまま眠っていい、ということです。
まとめ
- 猫が快適な室温は約30〜38℃。人にちょうどいい部屋は、猫には少し寒い
- 布団は条件をすべて満たす場所。暖かさ・危険がないこと・においが安心なこと・信頼している相手がそばにいること
- 明け方に起こされるのは自然なこと。寝る前に遊ぶ→ごはんの順にすると、ずれが小さくなる
- 猫と寝ている人は「眠れている」と感じていた(Scientific Reports 2024)。ただし自己申告の調査
今夜も猫が布団に入ってきたら、その子は家じゅうの場所を比べたうえで、あなたの隣を選んだということです。丸くなった背中の重みは、その答えそのものだと思います。
TOMORU|犬猫と暮らす毎日のために、ケアを考えています。
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