愛猫が喜ぶ顔を見たくて、ささみやかつお節をつい多めに——そんな経験はありませんか。じつは「猫にあげていい食べ物」でも、量や回数を間違えると体の負担になることがあります。この記事では、猫が実際によくもらっている3つ(ささみ/かつお節・煮干し/人のごはんのおすそ分け)について、どこに気をつければいいのかをまとめました。どれも「絶対にダメ」ではなく、与え方を少し変えれば大丈夫なものです。
ささみは「量」に注意。じつはリンが多い食材
ささみは脂肪が少なく、猫の食いつきもいい人気の食材です。ただ、ヘルシーなイメージのわりに、リンというミネラルが多く含まれています。若どりのささみ(生)は100gあたりリンが240mg。一方でカルシウムはわずか4mgで、バランスは大きくリンに偏っています。
猫はもともと腎臓に負担がかかりやすい動物といわれています。リンのとりすぎについては、健康な成猫を対象にした研究も報告されています。Journal of Feline Medicine and Surgery(2018年)では、健康な成猫13頭に、維持に必要な量の約5倍のリンを含む食事を1か月ほど与えたところ、13頭中9頭の尿に糖やわずかなアルブミンが出て、腎臓のろ過機能の指標が低下しました。これは意図的に極端な量を与えた研究なので、ささみを少しあげただけで同じことが起きるという話ではありません。ただ「リンは積み重なると腎臓に響きうる」という方向は、頭に置いておきたいところです。
目安としては、おやつ全体で1日の摂取カロリーの10%以内にとどめるのが一般的です。ささみを足したときは、その分だけ主食を減らしてバランスを保ちましょう。ドライタイプのささみおやつは水分が抜けているため、同じ重さでも成分が濃くなる点にも注意してください。シニアの猫や、健康診断で腎臓の数値を指摘されたことがある猫は、量を動物病院で相談すると安心です。
かつお節・煮干しは「合計量」に注意
ひとつまみでも猫が飛んでくる、かつお節と煮干し。1回の量が少ないので見落としがちですが、ミネラルはかなり濃い食材です。100gあたりのリンは、かつお節で790mg、煮干し(かたくちいわし)で1500mg。煮干しはさらにマグネシウム230mg、食塩相当量4.3gと、塩分も含みます。
ミネラルをとりすぎると、おしっこの中に結晶ができやすくなるといわれています。結晶が集まって石になり、尿の通り道をふさいでしまうと、緊急の処置が必要になることもあります。とくにオスの猫は尿の通り道が細く、詰まりやすいといわれています。
1種類ずつは量を守っていても、かつお節と煮干しとささみを毎日少しずつ、と重なれば合計は増えます。おやつは種類ごとではなく「合計」で見るのがポイントです。トイレの回数が増えた、トイレで鳴く、尿に血が混じる、何度も行くのに出ていない——こうした様子があるときは、様子を見ずに動物病院へ連れて行ってください。
ちくわ・ハムのおすそ分けは「塩分」に注意
猫がいちばんもらっているのは、じつは人のごはんかもしれません。ちくわ、かまぼこ、ハム——足元に寄ってきたときに、つい少しだけ。一口で急に体調を崩すようなものではありませんが、これらは人が食べる前提の味付けです。焼き竹輪は100gあたり食塩相当量2.5g、ロースハムは2.3g。ちくわ1本(およそ30g)で食塩0.7g前後、ハム1枚(およそ20g)で0.5g前後になります。
体重4kgの猫は、人の10分の1以下の体です。同じ一口でも、体に対する重さがまったく違います。加工品はリンや脂も多いので、毎日の習慣にするのは避けたいところ。どうしてもあげたいときは、味をつけずにゆでた鶏肉や魚を少しだけにしておくと安心です。
ねだる姿はかわいいものですが、食卓から手が伸びる習慣がつくと、玉ねぎの入った料理やチョコレートに口が届く場面も増えます。「食卓のものはあげない」と決めておくのが、いちばん確実な予防になります。
まとめ
3つとも「あげてはいけないもの」ではありません。気をつける場所が違うだけです。
- ささみ:量。リンが多いので、足した分は主食を減らす
- かつお節・煮干し:合計。1種類ずつではなく、おやつ全体で見る
- おすそ分け:塩分。人の味付けは、小さな体には濃すぎる
共通の目安は「おやつは1日の10%以内、足した分は主食を減らす」。そして、いつもと違う様子があれば早めに動物病院へ。毎日のごはんは積み重なるものだから、量と与え方だけ意識しておくと安心です。
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